茨城県高萩市「スマホアプリを活用したAIによる呼出型乗合バス実証運行」

展開地域名: 茨城県高萩市

分野:
交通
地域活性化
スマートシティ
キーワード:
自動化
業務効率化
ワークフロー
ホームページ
AI
IoT
スマホアプリ活用
MaaS

←戻る

解決すべき課題

■市街地域は、路線バスが走っているが、採算の悪化により減便を余儀なくされており、採算が悪化することで路線バスが不便になり、更に採算が悪化するといった悪循環に陥っている。

● 高齢者の免許返納の更なる増加が見込まれる中、免許返納者の移動手段の確保が課題となっている。

● 平成 29 年 5 月に「高萩市地域公共交通網形成計画」を策定し、これに基づき、山間地域などの交通不便地域については、デマンド型乗合タクシーの運行を行っており、交通空白地域の解消に向けた取り組みを行うなどの取り組みを展開してきたが、依然として市街地域の路線バスの採算の悪化が続いており持続的な公共の足の確保が困難。

● デマンド型乗合タクシーの採算の悪化により運行本数が削減されているため、利便性も十分とは言えない状況。

解決の手法

■スマホ専用アプリから予約に応じ運行する呼出型最適経路バス「MyRide のるる」を活用。利用希望者が予約すると、その状況に合わせて AI が車両のルートやスケジュールを算出、効率的な配車・運行を行う。

● 2021 年 7 月に実証運行を開始、2022 年 10 月 1 日から本格運行。AI による予約・走行状況に合わせた最適な運行を実現した。利用者はアプリで呼出をすれば「簡単・便利」に目的地まで乗り換え無しで乗車できる。

【呼出型最適経路バス】:

従来の定時定路線のバスは、運行経路・乗降場所・ダイヤが決まっており、通勤や通学等で大勢の利用者が毎日決まった時間に同じ目的地へ移動する需要に適しているが、呼出型最適経路バスは、出発地と目的地が異なる多様な移動需要に適したサービス。

既存バス停 96 箇所に加え、バーチャルバス停 141 箇所設置し合計 237 箇所と約 2.5 倍になる数に増やしたことで、利用者の希望に近い場所で乗降可能となった。

【MyRide のるる】:

・従来の路線バスで使用しているバス停(標柱あり)の他に「バーチャルバス停(仮想バス停)」という物理的な標識が無いシステム上のバス停を複数設定し、利用者のリクエストに応じて乗降場所として設定。利用者が従来の標柱のあるバス停よりも自宅から近い場所での利用が出来るようになる。

・利用者からアプリまたは電話で呼出(時間、出発場所・目的場所)を受付けた後、AI(人工知能)がルートと出発・到着時刻を算出し、最適な乗車場所・降車場所・運行ルート・運行時間を提案。利用者は提案された条件をアプリ上で確認でき、希望する提案を選択できる。

・選択後にリクエストが受け付けられると、利用者にはアプリ画面で、乗車するバス停までのルート案内や、乗車する車両の現在位置・バス停予定到着時刻、車両情報(ナンバープレート等)の情報が送られる。

・乗車後もアプリ上でバスの現在地、目的地までの経路と予定到着時刻が表示され、自分の希望する時間帯に、目的地に近い場所で降りられる。

・アプリではこれまでの乗車履歴を確認でき、自宅やよく行出かける場所を「お気に入り」で登録できる。

・「MyRideのるる」は AI によるマルチエージェント技術と最適化技術を活用。以下のパラメータから最適な解を導き出し、利便性と効率性を両立させる配車・運行を可能とする:

 ①利用者のリクエスト(時間、出発地点、到着地点)、
 ②道路の混雑状況、
 ③各車両の位置情報、
 ④各車両の運行ルート・スケジュール状況、
 ⑤乗車できる時間、
 ⑥許容される到着予定時刻との時差、
 ⑦蓄積された需要予測。

・運行実績を AI に解析させることにより、バーチャルバス停の設置場所の見直しや運行車両数の適正化を図ることができる。

・利用者に出発地点近くの「バーチャルバス停」まで歩いてもらうことで、効率的なルーティングを実現し、より多くの利用者が利用できる。

・運行時間帯(概ね 8:30~15:00)内であれば、利用したいときにバスを呼び出せる。

・運賃1乗車 300 円。小学生以下、障がい者、高齢者への割引制度有。
(小学生以下は 150 円、65 歳以上は ICカード(茨城交通)を作ってチャージすると 150 円で乗車可能)

(茨城交通「[お知らせ] 呼出型最適経路バス「MyRideのるる」本格運行開始」、「MyRide のるるご利用ガイド」参照。)

● 事業者は、1台のバスでより多くの利用者を運ぶことでき、生産性の向上を図れる。

解決における工夫点

● 誰ひとり取り残さない運行のため、電話での予約も可能。交通事業者がオペレーターとなり、代理で予約をする。

● 各種プロモーションの実施:

・多くの地域住民が、本取組を活用できるよう、公民館講座におけるスマホ教室の開催に併せ、アプリのインストールや使用方法を支援。

・市内のスマホ取扱店に協力を依頼し、スマホ購入時にアプリのインストール等のサポートを実施。

・包括連携協定を結ぶ保険会社に協力を依頼し、訪問をした際に本取組みの紹介のほか、アプリのインストール等のサポートを実施。

・バス停位置を示した地図と利用方法を掲載したリーフレットを作成・配布。

・運行内容や利用方法を紹介する映像を作成し、公式ページやSNSで公開。

(茨城交通「[お知らせ] 呼出型最適経路バス「MyRideのるる」本格運行開始」参照。)

● 交通とその他のサービスを複合的に提供する MaaS の進展にも注力しており、市内協力店で商品等を購入した際、バス利用者には割引特典を付与されるなど、交通事業者と地域店舗が連携し、双方の活性化に繋がる取組も進めている。

事例による成果

■2021 年 7 月から 1 年間実証実験を行い、その間、利用者から「便利になった」との声があった。実際、以前の定時定路線バス以上の利用者数となり本格運行に移行することが決定された。

● 既存バス停 96 箇所に加え、バーチャルバス停 141 箇所設置し合計 237 箇所と約 2.5 倍になる数に増やしたことで、自分の希望に近い場所で乗降可能となった。その結果、これまでバス停の全くなかった地域住民が「のるる」を利用するなど利便性の向上に繋がった。

● 土日祝の利用者は若い世代が多く、15 歳から 20 歳の利用が増えている。若い世代はアプリの利用が大半を占めるため、新たな層の利用も増えていると思われる。

【「MyRideのるる」アプリ登録者数】

 ・累計登録者数:2022 年 3 月時点 1,212 人(毎月 100 人~150 人増加傾向)

【取組による公共交通利用者数】

 ・2021 年 1 月時点:定時定路線 1,829 人 → 2022 年 3 月時点:のるる 2,152 人(323 人増)

 ・一日平均利用者数
 2021 年 1 月時点 (平日)81.7 人/日 (土日祝)23.9 人/日 → 2022 年 3 月時点 (平日)84.8 人/日 (土日祝)33.2 人/日

● 令和 4 年 10 月本格運行開始


【今後の展望】

・他地域の不採算路線においても、課題解消のモデルケースとなるよう、事業の育成・発展を図る。

事例が与えた影響

土日祝の利用者は若い世代が多く、15 歳から 20 歳の利用が増えている。若い世代はアプリの利用が大半を占めるため、新たな層の利用も増えていると思われる。

事例の継続性

継続運用中

事例の運用期間

2021 年 7 月~継続運用中

参考資料

本事例は、「2022年度 夏のDigi田甲子園 茨城県の取り組み」を中心として、以下の資料を参照して編集しています。
※ 以下の資料の参照先は、調査時点でのものです。参照先の構成によっては、リンク切れとなっている場合があります。あらかじめご承知おきください。

■デジタル田園都市国家構想 DIGIDEN

●2022年度 夏のDigi田甲子園 

・茨城県の取り組み
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/digitaldenen/archives/koushien/chiiki/ibaraki.html

・推薦調書
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/digitaldenen/archives/koushien/chiiki/pdf/08-2.pdf

●デジ田メニューブック

・スマホアプリを活用したAIによる呼出型乗合バス実証運行
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/digitaldenen/menubook/2022_summer/0023.html

■政府インターネットテレビ

・茨城県高萩市|スマホアプリを活用したAIによる呼出型乗合バス実証運行|夏のDigi田甲子園
https://nettv.gov-online.go.jp/prg/prg24919.html

■高萩市

・MyRideのるる 本格運行開始に
https://www.city.takahagi.ibaraki.jp/page/page005770.html
(2023/7/14現在非表示。)

・くらしの情報 「公共交通(路線バス・のるる・乗合タクシー)」
https://www.city.takahagi.ibaraki.jp/sp/page/page003407.html

・市報たかはぎ 2022.9 10月から MyRideのるる本格運行に
https://www.city.takahagi.ibaraki.jp/jgcms/admin15684/data/doc/1662012587_doc_121_2.pdf

・市報たかはぎ 2022.9 65歳以上 路線バスの運賃半額助成
https://www.city.takahagi.ibaraki.jp/jgcms/admin15684/data/doc/1662012587_doc_121_6.pdf

・市報たかはぎ 2022.2 アプリ乗車者限定 商品・サービス料の割引料のキャンペーン
https://www.city.takahagi.ibaraki.jp/data/doc/1643850825_doc_121_5.pdf

・市報たかはぎ 2021.7 「その名は、のるる。」
https://www.city.takahagi.ibaraki.jp/jgcms/admin15684/data/doc/1643590374_doc_121_0.pdf

■茨城交通

・ニュースリリース
「[お知らせ] 呼出型最適経路バス「MyRideのるる」本格運行開始」2022年8月29日 
http://www.ibako.co.jp/contents/newsrelease/2022/08/25261.html

・MyRide のるるご利用ガイド
http://www.ibako.co.jp/regular/myride/pdf/manual_myride_noruru_4.pdf

・MyRide のるる
http://www.ibako.co.jp/regular/myride/

・呼出型最適経路バス「MyRideのるる」紹介動画
https://www.youtube.com/watch?v=seXPuFQ3EOs

■App Store  

・App Storeプレビュー MyRideのるる
https://apps.apple.com/jp/app/id1568927567

■Google Play 

・MyRideのるる
https://play.google.com/store/apps/details?id=takahagi.rider&hl=ja&gl=US&pli=1

■茨城新聞クロスアイ

・AIバス本格運行 茨城・高萩で「のるる」出発式 2022年10月2日
https://ibarakinews.jp/news/newsdetail.php?f_jun=16646198840732

関連する図表・動画

●デジタル田園都市国家構想実現会議事務局
・【茨城県高萩市】スマホアプリを活用したAIによる呼出型乗合バス実証運行
https://www.youtube.com/watch?v=_70kGkI_koc

事例に関する問い合わせ先

企画財政課
Tel: 0293-23-2118
E-mail: kikaku@city.takahagi.lg.jp

本事例についてのご要望

本ページ掲載事例の、項目の追加・修正・削除等のご要望は地方公共団体DX事例データベースに対するご要望フォームよりお寄せください。

PAGE TOP