大阪府河内長野市「地域住民の生活の質を高める移動支援、南花台モビリティ「クルクル」」

展開地域名: 大阪府河内長野市

分野:
交通
地域活性化
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キーワード:
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解決すべき課題

■南花台は開発から約 40 年が経過する開発団地であり、こうした開発団地の再生モデル構築を目指し、河内長野市・大阪府・関西大学が連携し、平成 26 年度よりまちづくり事業を実施してきた。

● 開発から 40 年が経過し、南花台は府下でも高齢化が進み、免許を返納した住民も増えている。また、ほんのわずかな移動にも不便を感じたり、体調不良により自宅にこもる老人が現実的に多く存在する。

● 移動手段のない高齢者は家に閉じこもりがちになり、社会とのつながりがなくなったり、生活機能や能力が低下するおそれがある。高齢者の外出機会を増やし健康的な生活に誘導する取り組みが必要。

解決の手法

■地域住民による効率的な AI を活用したデマンド運行の移動支援を導入。

● 地域住民が主体となり、AI運行バスシステムを活用した効率的な運行と、低速電動ゴルフカート 7 人乗り(19 ㎞/h以下)を活用した安全性の高い移動支援を実現。

・AI運行バスは、複数の乗客が乗り合いながら各停留所を運行する路線バスと、乗車デマンドに応じて配車されるタクシーの両方の特性を MIX させた、いわゆるオンデマンド型の交通システム。地域内移動支援の仕組みの構築とコミュニティづくりを目的とする。

● 環境省が実施する「Iot技術等を活用したグリーンスローモビリティの効果的導入実証事業」の採択を受け、大阪府、河内長野市社会福祉協議会、南花台自治協議会、関西大学、株式会社コノミヤ、株式会社NTTドコモ、関西電力株式会社と連携し、AIを活用した南花台モビリティ「クルクル」を導入。令和元年 12 月に運行を開始。(河内長野市「南花台モビリティ「クルクル」が始動」参照。)

【仕組み】:

・利用者は自分の好きなタイミングでアプリから予約、乗車中は乗り合いが発生しつつ最適なルートで目的地まで到着できる。

・AI を活用した予約・配車管理を採用しており、運転手の業務の煩雑さを解消できる。

・従来の人手を介した受付、配車手配の作業は AI が担っている。

・本実証では、実証後に南花台地区の住民が運用に携わり、持続可能なモデルを構築することを念頭に、プロのドライバーではない住民が運転業務に集中できる環境づくりや、可能な限り人手を介さずに予約、配車(変更等)業務が行われることに配意し、AI の機能を活用している。

・ 過去の実証試験の知見や実際の運行データから、継続して改善していくことが可能な AI を活用。「どの車両で」、「どの順番で」迎えに行くのが効率的なのか、予約時に車両の位置、予約状況(進行方向・乗車人数)を元にリアルタイムに予約を完了させる。

・運行スケジュールやドライバーの休憩時間等を考慮して降車が完了するよう、予約管理を行う。現在運行している車両の運行スケジュール内に収まらない予約については、次の時間帯の車両に自動的に振り替えるなどがリアルタイムに計算、反映させる。

・急なキャンセルや運行の順番が変わっても AI が即座に新ルートとして反映させ、車両側のタブレットに表示させる。ドライバーや運行管理者は本来の業務に集中することが出来る。

・乗降ポイントは南花台地区内の電柱約 300 カ所。乗車ポイントにはクルクルの緑のロゴマークがついた看板を設置。

・AIバスには運転手と補助員の計 2 人が添乗。バスの予約は電話または受付拠点での体面受付で、受付から運転まで地域住民がボランティアで行う。

・運賃:1 乗車 100 円

(河内長野市「2.令和2年度 実証事業の実施状況」、南花台に暮らす人が運営する地域ポータルサイト 咲っく南花台.com「南花台モビリティ「クルクル」について」参照。)

【オンデマンド運行の7人乗り低速運動ゴルフカート「クルクル」】:

・ゴルフカートはヤマハグループが提供する電動で時速20km未満で公道を走るグリーンスローモビリティ。

・地面に敷かれた電磁誘導線に沿って自動走行する。ルート上に設置された RFIDタグを通過するたびに車両がコース情報を受信して、加減速や自動停止を実施。

・車両に搭載したカメラとセンサーが、人や障害物を感知しても自動停止する。

・緊急時や電磁誘導線のないコースを走行する際は、運転手が手動運転で対応する。

(河内長野市「南花台モビリティ「クルクル」が始動」、YAMAHA「南花台モビリティ「クルクル」が始動(大阪府河内長野市)」参照。)

解決における工夫点

● 南花台地域は買い物支援や子育て支援といったボランティア活動が非常に盛ん。住み慣れた住民が健康で生きがいを持ちながら住み続けられる町にすることを地域一丸でなって取り組んだ。AIバスは利用者も住民、バスを運営する側も地域住民で対応できるという点で取り組みにあったシステムになっている。(docomo business「河内長野市さま「AI運行バス®」で地域活性化をめざす AI運行バス®」より。)

● 地域住民主体の運行:

 地域住民のボランティアにより移動支援を運行することにより運行経費が安価に抑えることができ、継続性を高めた。

● 低速電動ゴルフカートの活用:

 最高速度 19 ㎞/hの低速車両を活用することにより、運行の安全性を高めるとともに、低床で乗り降りがしやすく、開放的な車両で乗車時の季節を感じることができる気持ちよさが利用促進にもつながっている。

● 有償化による運行継続性の向上:

 令和 3 年 1 月より 1 乗車 100 円の有償化を図った。必要性の高さから、有償後の乗車人数の減少はほぼなく、一定の収益を見込める状況となり、取り組みの継続性が見込めるようになった。

● 電柱 2 本に 1 本を乗降ポイントとしたデマンド運行:

 地域内にある電柱 2 本に 1 本(約 300 か所)を乗降ポイントとすることでほぼドア・ツー・ドアのデマンド運行が実現できた。

事例による成果

● 日常の買物や病院の行き帰りや、サークル活動にも利用され、地域住民からは「すぐに来てくれるので便利」「重い荷物を持たなくてよい」と好評。地域コミュニケーションの活性化に大きく貢献することにもなった。
(docomo business 「河内長野市さま「AI運行バス®」で地域活性化をめざす AI運行バス®」より。)

● 2020 年の利用者アンケート結果で、70 代以上の利用が月を追うごとに増加しており、常的に利用者がおり、地域全体・多世代に情報の周知の広まりが見てとれた。(河内長野市「3章 実証事業の実施状況-2(利用状況・アンケート結果等)」より。)

● コロナ禍で 2020 年度より運休や乗車人数制限しているが、毎年度、利用者アンケートで 9 割以上の高い満足度評価を受けている。

【利用実績】

・2019 年度...利用者 511 人(12 月 142 人、1月 146 人、2月 223 人)

・2020 年度...利用者 170 人(10 月 27 人、11 月 52 人、12 月 35 人、1月 14 人、3月 42 人)

・2021 年度...利用者 751 人(4 月 44 人、7 月 61 人、10 月 48 人、11 月 134 人、12 月 162 人、1 月 132 人、2 月 77 人、3 月 93 人)


【今後の展望】:

● 自動運転化:

・ 将来の人口減少による担い手不足に対応するため「地域住民の運行負担軽減」と「運行安全性の向上」につながる安価で継続性の高い自動運転モデルを構築する。

・令和 3 年 10 月から、電磁誘導方式の自動運転により、定時・定ルート運行の移動支援を実装しており、令和 4 年度中に自動運転のルート延伸、遠隔監視システム、令和 6 年度中に遠隔操作システムを導入し、レベル 4 による住民主体の自動運転による移動支援の実現を目指す。

事例が与えた影響

・地域住民のラストワンマイルの移動支援による生活利便性向上と地域住民が主体となった運行チーム(現在約 60 名が参加、増加中)への参画による新たな生きがいを創出。

・カート内での新たなコミュニティも生まれ、南花台のまちづくり全体にも大きな影響を与えている。

事例の継続性

継続運用中

事例の運用期間

2019 年 12 月~継続運用中

参考資料

本事例は、「2022年度 夏のDigi田甲子園  大阪府の取り組み」を中心として、以下の資料を参照して編集しています。
※ 以下の資料の参照先は、調査時点でのものです。参照先の構成によっては、リンク切れとなっている場合があります。あらかじめご承知おきください。

■デジタル田園都市国家構想 DIGIDEN

●2022年度 夏のDigi田甲子園  

・大阪府の取り組み
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/digitaldenen/archives/koushien/chiiki/osaka.html

・推薦調書
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/digitaldenen/archives/koushien/chiiki/pdf/27-2.pdf

●デジ田メニューブック

・地域住民の生活の質を高める移動支援、南花台モビリティ「クルクル」
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/digitaldenen/menubook/2022_summer/0088.html

■河内長野市

・南花台モビリティ「クルクル」が始動 更新日:2020年1月7日更新
https://www.city.kawachinagano.lg.jp/soshiki/30/34689.html

 ー南花台モビリティ「クルクル」出発式全体事業概要説明
https://www.city.kawachinagano.lg.jp/uploaded/attachment/18750.pdf

 ー3.実証事業の実施状況
https://www.city.kawachinagano.lg.jp/uploaded/attachment/22217.pdf

 ー3章 実証事業の実施状況-2(利用状況・アンケート結果等) (令和元年報告)
https://www.city.kawachinagano.lg.jp/uploaded/attachment/22217.pdf

 ー2.令和2年度 実証事業の実施状況
https://www.city.kawachinagano.lg.jp/uploaded/attachment/25588.pdf

 ー2.令和3年度 実証事業の実施状況
https://www.city.kawachinagano.lg.jp/uploaded/attachment/28265.pdf

・南花台モビリティ「クルクル」プロモーション映像(ロングバージョン)
https://youtu.be/vNm7T_aCl9I?t=92

・南花台モビリティ「クルクル」PV
https://www.youtube.com/watch?v=Ud60iiE0uZ8

・公道における自動運転試験走行の模様(河内長野市南花台にて)令和3年3月
https://www.youtube.com/watch?v=uGZALP4gUB8

■南花台に暮らす人が運営する地域ポータルサイト 咲っく南花台.com
http://nankadai.com/

・南花台モビリティ「クルクル」について
http://nankadai.com/kurukuru

・10/16(土)南花台「クルクル」自動運転出発式、10/17(日)期間限定ヤマハ実験走行開始!! 2021.10.17
http://nankadai.com/post_34552

・「クルクル」の自動運転実証実験と電磁誘導線等敷設作業実施 2021.01.23 
http://nankadai.com/post_33294

■YAMAHA

・南花台モビリティ「クルクル」が始動(大阪府河内長野市)
https://www.yamaha-motor.co.jp/gsm/topics/kawachinagano.html

■docomo business

・河内長野市さま「AI運行バス®」で地域活性化をめざす AI運行バス®
https://www.ntt.com/business/case-studies/city_kawachinagano.html

■環境展望台 

・大阪府など、「グリーンスローモビリティ」実証実験の概要を紹介 発表日:2019.11.29
https://tenbou.nies.go.jp/news/jnews/detail.php?i=28362

■産経新聞

・高齢化団地の新インフラは自動運転の電動カート 2021/11/6 
https://www.sankei.com/article/20211106-3GF5QVZCIVPN5A6Q5UGA4VKXU4/

・自動運転が外出手助け 河内長野市、5月にも実証実験 2021/3/16  
https://www.sankei.com/article/20210316-ILIVTLOBTRKQBJV24GIRD7LHIA/

■note

・「のりあい」から「ふれあい」へ。共助の地域モビリティ(大阪府河内長野市)  世界経済フォーラム第四次産業革命日本センター 2022年6月15日
https://note.com/c4irj/n/n08f81687b238

関連する図表・動画

●デジタル田園都市国家構想実現会議事務局
・【大阪府河内長野市】地域住民の生活の質を高める移動支援、南花台モビリティ「クルクル」
https://www.youtube.com/watch?v=JuFDKYeL8IY

事例に関する問い合わせ先

総合政策部政策企画課
Tel: 0721-53-1111
E-mail: kikaku@city.kawachinagano.lg.jp

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