福島県西会津町「デジタル教室等によるデジタルデバイド対策」

展開地域名: 福島県西会津町

分野:
教育
デジタルデバイド解消
誰一人残されない社会の実現
キーワード:
人材育成
IoT

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解決すべき課題

■西会津町では、令和 3 年 3 月に「西会津町デジタル戦略」を策定した。戦略に基づく DX(デジタル・トランスフォーメーション)を進めるにあたり、特に高齢者に対するデジタルデバイド対策が必要。

● 西会津町には、大型電気店や携帯電話の販売店舗などが無く、最も近い店舗まで車で 30 分程度かかることから、高齢者がデジタル機器に触れる機会が少なく、困った時に気軽に相談できる場所が町内に無い現状。


【「西会津町デジタル戦略」について】:

 ⊡ 趣旨:

 本町の人口は、昭和 25(1950)年の 19,611 人をピークに減少傾向が続き、平成 27(2015)年には 6,582 人となり、令和 7(2025)年の目標人口は 5,300 人を掲げている。この人口減少によって、本町では今後、集落機能の維持が困難な自治区の増加、高齢化に伴う医療・福祉分野等の担い手不足、小売店等の減少など地域経済のさらなる縮小といった課題が顕著になるものと予測されている。

 このため、ケーブルテレビ情報通信基盤等を活用した快適で便利な暮らしづくりをはじめ、地域経済の活性化、雇用の創出、農林業の生産性・所得の向上、担い手の育成、移住促進、さらに、教育、保健、医療、福祉分野などでのデジタル技術の活用による、町の将来像「笑顔つながり 夢ふくらむまち ~ずーっと、西会津~」の実現に向けて、町では今年度、西会津町デジタル戦略を策定することとした。

 日々進化するデジタル技術を戦略的に有効に活用し、地域の課題解決や行政サービスの向上、さらに移住定住の促進等を図るため、本戦略を基に、産業をはじめ、暮らし、行政などあらゆる分野においてデジタル変革に取組み、持続可能なまちサスティナブルタウンを目指し、まちづくりを進めるもの。

● 戦略期間:

 令和 3 年度~令和 7 年度の 5 年間とし、毎年計画内容を点検し、西会津町総合計画(第 4 次)前期基本計画が終了する令和 4 年度に本戦略の見直しを行う。

(西会津町「西会津町デジタル戦略」より。)
  

解決の手法

■西会津町で策定した「西会津町デジタル戦略」において、デジタル技術の活用によるあらゆる分野におけるデジタル変革(DX)を進めるにあたり、特に高齢者の事業や取組みの理解が必要なことからデジタル教室の開催やよろず相談室を開設することとした。

実施にあたっては、令和 3 年 5 月に「西会津町デジタル戦略」に基づくまちづくり連携協定を ㈱ NTTドコモ と締結し、同社と連携・協力し事業に取り組んでいる。


● 具体的な取り組み:

① 西会津町ケーブルテレビを活用した「デジタルに関する特別番組」の制作・放映

 ー町ケーブルテレビで特別番組を放送することで、町民がデジタル機器や技術に興味を持つことが期待でき、その後、デジタル教室で実際に機器を体験することで、利点や便利さを知ることができる。

② 主に高齢者を対象とした、自治区に出向いての「デジタル教室」の開催

 ー令和 3 年度は、西会津町主催でのデジタル教室に加え、㈱ エヌ・エス・シーと共催でスマートフォン教室を開催

③ デジタルをはじめ、どんなことでも相談ができる「デジタルよろず相談室」の開設・実施

 ー普段の生活で困っていることを気軽に相談でき、例えば、SNSやオンラインショップの利用、テレビ電話で家族と話すなどといったスマートフォンの設定や使い方など、町民誰もがデジタル技術を有効に活用できるよう支援を行っている。


・本取り組みは、西会津町デジタル戦略の一環。以下、「西会津町デジタル戦略 令和3年3月」より抜粋:
 
 第4章 施策の展開方向と取組み
~思いやりと町民本位の戦術~ 「施策の展開方向と取組み~思いやりと町民本位の戦術~

4.学びのDX
(1) デジタル教室の開催等

 町デジタル戦略の内容説明、特に高齢者がスマートフォンやタブレットなどの機器に触れられる機会を作り、デジタルに対する苦手意識を払拭するとともに、デジタル技術への興味関心を持ってもらうことを目的に、自治区に出向いてのデジタル教室を開催する。
 教室では、ワークショップなどを通して、町民が普段の暮らしの中で不便に感じていることなど課題を吸い上げる作業を併せて行い、施策や具体的な事業に反映していく。
 また、町ケーブルテレビで企画番組を制作・放送し、デジタル技術を用いたサービスの利用支援を図る。

 第5章 戦略の推進

 3.デジタルデバイド対策

 デジタル化を進めるにあたっては、デジタル技術の利活用により、年齢、障がいの有無、性別、国籍、経済的な理由などにかかわらず、誰もが取り残されずにデジタル化の恩恵を享受できる環境の整備に取組むことが必要である。
 このためには、デジタル機器に不慣れな人でも容易に操作できる設計など、利用者の目線で、かつ、利用者に優しいサービスの実現とその利活用の促進を図っていくことが重要である。本町は、高齢化率が高いことから、相談対応をはじめ、特に、高齢者のデジタル技術についての理解、利活用を支援するため、関係者が連携した仕組み、体制により取組みを進める。
 また、町民等への情報伝達・発信は、若者から高齢者までの受け手の世代に合わせた手段等により行うものとする。

解決における工夫点

●令和 3 年 5 月に「西会津町デジタル戦略」に基づくまちづくり連携協定を締結した ㈱ NTTドコモ とは、様々な分野で連携している。デジタルデバイド対策においては、デジタル教室で使用する機器の選定や、実際の教室の支援員、デジタルよろず相談室の対応等について、支援を頂いている。

・デジタル教室では、㈱ NTTドコモ に加えて、㈱ エヌ・エス・シーと連携し、デジタル機器やデジタル技術の体験を目的として開催している。教室では、操作方法や専門用語を覚えてもらうことよりも、インターネットやカメラ、地図利用やゲームなどを紹介し、デジタルの便利さや楽しさを体験してもらい、まずはデジタルへの苦手意識を払拭することを重要視している。

・町職員が講師を務め、各自治区の集会所に出向いて行うデジタル教室は、柔軟な日程調整が可能であり、町民の皆さんが集まりやすい地区の集会所で開催することで気軽に参加することができ、参加率の向上につながっている。

・デジタルよろず相談室は、デジタルに関することのほか、どんなことでも相談できる場所として、町民に非常に好評を得ている。一人ひとりのデジタルに対するスキルや理解度が違い、利用目的も異なっていることから、一般的な教室の形式では全てに対応することが不可能である。このため、デジタルよろず相談室で個別に対応することで、誰一人取り残されずに、デジタル技術の恩恵を享受することができる社会を目指している。

事例による成果

● 以下は令和 4 年 5 月 20 日時点での実績:

・デジタル教室参加者数:

  町主催:令和 3 年 8 月から自治区等の希望により 12 回開催、延べ 124 名参加。
  企業と町の共催:令和 3 年 10 月~11 月に 8 回開催、延べ 46 名参加。
 
・デジタルよろず相談室:

  令和 3 年 5 月より 46 回開催、延べ 75 名の相談に対応。


【今後の展望】

本取組みについては、継続して実施していく計画であり、将来的には、各自治区や地域単位で、「デジタルのことは、この人に聞けば大丈夫」という人材の育成・配置を目標に、持続可能な地域づくりに向けて、現在のデジタル教室を見直しながら、あらゆる人がデジタル化の恩恵を享受できる、「誰一人取り残されない」社会の実現を目指していく。

事例の継続性

継続運用中

事例の運用期間

2021 年 8 月~継続運用中

参考資料

本事例は、「2022年度 夏のDigi田甲子園 福島県の取り組み」を中心として、以下の資料を参照して編集しています。
※ 以下の資料の参照先は、調査時点でのものです。参照先の構成によっては、リンク切れとなっている場合があります。あらかじめご承知おきください。

■デジタル田園都市国家構想 DIGIDEN

●2022年度 夏のDigi田甲子園

・福島県の取り組み
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/digitaldenen/archives/koushien/chiiki/fukushima.html

・推薦調書
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/digitaldenen/archives/koushien/chiiki/pdf/07-3.pdf

●デジ田メニューブック

・デジタル教室等によるデジタルデバイド対策
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/digitaldenen/menubook/2022_summer/0020.html

■政府インターネットテレビ

・福島県西会津町|デジタル教室等によるデジタルデバイド対策|夏のDigi田甲子園
https://nettv.gov-online.go.jp/prg/prg24829.html

■西会津町

・西会津町デジタル戦略 中間見直し 令和5年3月
https://www.town.nishiaizu.fukushima.jp/uploaded/attachment/10032.pdf

・西会津町デジタル戦略の策定
https://www.town.nishiaizu.fukushima.jp/soshiki/2/10146.html

 ー報道資料 西会津町デジタル戦略の策定について 令和3年3月5日
https://www.town.nishiaizu.fukushima.jp/uploaded/attachment/6055.pdf 

 ーデジタル戦略 令和3年3月
https://www.town.nishiaizu.fukushima.jp/uploaded/attachment/6056.pdf

・デジタル教室を自治区の集会所で開催します 2021年7月27日更新
https://www.town.nishiaizu.fukushima.jp/soshiki/2/10825.html

 ーチラシ
https://www.town.nishiaizu.fukushima.jp/uploaded/attachment/6805.pdf

・デジタルよろず相談室を開設します 2022年10月26日更新
https://www.town.nishiaizu.fukushima.jp/soshiki/2/12142.html

■facebook

・西会津のある暮らし相談室
https://www.facebook.com/life.with.nishiaizu/

■自治体通信

・【福島県 耶麻郡 西会津町】自治体DX等で大きな成果めざす~“小さな町”が進める官民共創とオープンな広域連携戦略
https://www.jt-tsushin.jp/article/report-dx_nishiaizumachi

■小さな町のデジタル戦略が面白い(福島県西会津町)
https://www.youtube.com/watch?v=XepKUfSdQn8

・小さな町のデジタル戦略が面白い
https://www.sci-japan.or.jp/vc-files/member/secure/speakers/20210520.pdf

関連する図表・動画

● デジタル田園都市国家構想実現会議事務局
・【福島県西会津町】デジタル教室等によるデジタルデバイド対策
https://www.youtube.com/watch?v=1aVt79mP034

事例に関する問い合わせ先

企画情報課
Tel: 0241-45-4536
E-mail: kikaku@town.nishiaizu.fukushima.jp

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