群馬県安中市「デジタルを活用した会話のコミュニケーション支援」

展開地域名: 群馬県安中市

分野:
住民窓口サービス
高齢者支援、難聴者支援、障がい者支援、外国人支援
キーワード:
自動化
業務効率化
ワークフロー
コミュニケーションツール
AI
IoT

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解決すべき課題

■マスク着用やパーティション設置などの感染症対策により、窓口での市民対応の中で、難聴の傾向がある方や聴覚障害者にとって職員の声が聞き取りにくい状況が発生していた。

● また職員、市民双方で聞き間違いや言い直しが発生するなど、コミュニケーションに支障をきたす状況が続いていた。

● 感染症対策下の窓口業務では、マスクを外す、パーティションの隙間から会話をするなど、感染リスクの拡大につながる行動が発生していた。

解決の手法

■コロナ禍における窓口業務において、マスク着用やパーティション設置により、声が聞き取りにくい状況の改善、さらには聴覚障害者との円滑なコミュニケーションの実現のため、音声をタブレット端末に文字表示させる仕組みを導入した。

● デジタルの利便性が市民生活に浸透していくためには、スマートフォン講習会のような利用者の自助努力を促す取組だけでなく、「気が付いたら便利にデジタルを活用していた」という体験価値も重要。話し言葉が文字としてタブレット端末に表示され、円滑なコミュニケーションが成立するこのデジタルツールは、「人にやさしいデジタル」「誰一人取り残さないデジタル」の具体策であると考えた。

● タブレット端末を通じた円滑なコミュニケーションを実現させるため、文字の大きさ、フォントの見やすさ、発語から文字が表示されるまでのスピード、さらには文字の表示時間と話し手の速度など様々な変数を考慮。利用者にとって最適な条件を調査し、市はピクシーダストテクノロジー ㈱ と、市役所福祉課窓口でリアルタイムで会話を話者と聞き手の双方向に字幕表示をする実証実験を行った(実証実験期間:令和 3 年 7 月 1 日~同年 9 月 30 日)。本技術は、 Digital Nature Group の字幕表示に関する研究成果を応用したもの。

(安中市「広報あんなか 令和の「学び」のスタンダード 2021年(令和3年)9月1日 Vol. 186」、「ピクシーダストテクノロジーズ株式会社と窓口業務のコミュニケーション改善を目的とした実証実験を開始 ~大学発先端技術の社会実装による地域課題解決へ~」参照。)

● 令和 4 年に会話の内容をコニカミノルタ ㈱ が提供するアプリ「KOTOBAL」を活用したタブレット端末に字幕表示するシステムを本格導入。話した内容が即時に画面上に表示され、日本語のほか、英語やベトナム語など 31 か国語を翻訳し、表示・発音することが可能。

(安中市「広報あんなか 2022年(令和 4 年)7月1日 Vol. 196 あんなかのおしごと通信 Vol.32 あんなかのおしごと通信 Vol.32 音声筆談・多言語翻訳のタブレット端末を導入しました」、上毛新聞「窓口での会話に筆談・多言語アプリ導入 安中市」参照。)

 【KOTOBAL】:
 
 コニカミノルタ ㈱ が提供する、行政や自治体で使用する行政用語が翻訳できる、最大 30 言語対応の多言語通訳サービス。しゃべった内容が文字になる「音声筆談」機能がついており、聴覚障害者のサポートが可能。(コニカミノルタ「KOTOBAL」より。)

解決における工夫点

・実証実験の期間を設け、アンケートを実施した。委託費用を抑えるため、アンケートは職員が直接、利用者から収集し、できるだけ多くの感想を聴取した。

・利用者からのアンケートを分析することで、会話をタブレットに表示する際の、文字の大きさなどのフォント・表示されるスピード・タブレットの位置など利用者に最適の仕様となるよう確認した。利用者からは、「筆談よりも楽で、普段よりもたくさん話ができ、楽しく会話することができた。」、「手話通訳者がいない時でも、文字を見てコミュニケーションがとれて良かった。」など、仕組みの有効性を確認することができた。

・高齢者や障害者などデジタルに不慣れな人でも、自ら操作方法を学ぶことなく、自然にデジタルに触れ、気軽さや利便性を感じてもらえる仕組みであり、「誰一人取り残さない、人にやさしいデジタル化」を目指した取組である。

事例による成果

● 実証実験期間中(令和 3 年 7 月 1 日~同 9 月 30 日)のアンケートで「役に立った」又は「時々役に立った」と評価した人の割合:

 ・全 体 54 名中 40 名(74 %)
 ・難聴者 14 名中 11 名(79 %)

● 人と人とのコミュニケーションの間にデジタルを介在させることは、一見、人間的な温もりのある関係性を希薄化するように感じられるが、介護認定の訪問調査の場面などでは、デジタルの新鮮さもあってか、かえって会話が弾み、調査の場が和んだというエピソードもあった。このようなコミュニケーションの実現は、デジタルの今後の展開に新たな視点をもたらすものと考えられる。

● 音声認識については誤変換が全くないわけではないが、コミュニケーションを取ることは十分可能。また、筆談のような形式的で必要最低限のやり取りではなく、雑談も交えた深い相談をすることができるため、市民に満足してもらうことができた。


【今後の展望】

・今後も利用者からの声を聞き取り、導入したアプリ(KOTOBAL)の提供企業とともに、市民にとってさらに使いやすいデジタルツールとなるよう改善を継続していく。

事例の継続性

継続運用中

事例の運用期間

2021 年 7 月~継続運用中

参考資料

本事例は、「2022年度 夏のDigi田甲子園 群馬県の取り組み」を中心として、以下の資料を参照して編集しています。
※ 以下の資料の参照先は、調査時点でのものです。参照先の構成によっては、リンク切れとなっている場合があります。あらかじめご承知おきください。

■デジタル田園都市国家構想 DIGIDEN

●2022年度 夏のDigi田甲子園

・群馬県の取り組み
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/digitaldenen/archives/koushien/chiiki/gunma.html

・推薦調書
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/digitaldenen/archives/koushien/chiiki/pdf/10-2.pdf

●デジ田メニューブック

・デジタルを活用した会話のコミュニケーション支援
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/digitaldenen/menubook/0018.html

■政府インターネットテレビ

・群馬県安中市|デジタルを活用した会話のコミュニケーション支援|夏のDigi田甲子園
https://nettv.gov-online.go.jp/prg/prg24730.html

■安中市

・会話の双方向字幕表示の実証実験
https://www.city.annaka.lg.jp/gyousei/kikaku_keiei/hisyoseisaku/souhoukouzimakuhyouji.html

 ーピクシーダストテクノロジーズ株式会社と窓口業務のコミュニケーション改善を目的とした実証実験を開始 ~大学発先端技術の社会実装による地域課題解決へ~
https://www.city.annaka.lg.jp/gyousei/kikaku_keiei/hisyoseisaku/files/torikuminaiyou.pdf

 ーピクシーダストテクノロジーズ株式会社 代表取締役 落合陽一様 メッセージビデオ】
https://www.city.annaka.lg.jp/gyousei/kikaku_keiei/hisyoseisaku/files/video.mp4

・「夏のDigi田(デジデン)甲子園」の県代表に選ばれました 
https://www.city.annaka.lg.jp/gyousei/kikaku_keiei/hisyoseisaku/digidenkoushien-annaka.html

・広報あんなか 2022年(令和4年)7月1日 Vol. 196 
あんなかのおしごと通信 Vol.32 
https://www.city.annaka.lg.jp/kouhou/2022/files/0407all.pdf

ー広報あんなか 2022年(令和4年)7月1日 Vol. 196 
あんなかのおしごと通信 Vol.32 あんなかのおしごと通信 Vol.32 音声筆談・多言語翻訳のタブレット端末を導入しました
https://www.city.annaka.lg.jp/kouhou/2022/files/0407P15.pdf

・広報あんなか 2021年(令和3年)9月1日 Vol. 186 
令和の「学び」のスタンダード 
https://www.city.annaka.lg.jp/kouhou/2021/files/0309all.pdf

・外国人相談窓口(がいこくじん そうだん まどぐち)について
https://www.city.annaka.lg.jp/gyousei/shimin/shiminsoudan/gaikokujin-soudan.html

■コニカミノルタ

・KOTOBAL
https://www.konicaminolta.jp/kotobal/index.php

・ニュースリリース 2022年4月13日「自治体・行政向け多言語通訳サービス「KOTOBAL」で外国人のための「やさしい日本語」の普及を支援」
https://www.konicaminolta.com/jp-ja/newsroom/2022/0413-01-01.html

・News Release Konica Minolta Promotes the Use of Plain Japanese for the Convenience of Foreigners with its KOTOBAL Multilingual Translation System for Local Governments and Public Agencies April 13, 2022

■上毛新聞

・窓口での会話に筆談・多言語アプリ導入 安中市 2022/5/21
https://www.jomo-news.co.jp/articles/-/117769

■東京新聞

・<新型コロナ>間仕切り、マスクがあっても 字幕で会話、スムーズに 安中市役所福祉課窓口 実証実験開始 2021年7月25日
https://www.tokyo-np.co.jp/article/119138

関連する図表・動画

●デジタル田園都市国家構想実現会議事務局
・【群馬県安中市】デジタルを活用した会話のコミュニケーション支援
https://www.youtube.com/watch?v=wVgtLeGmZls

事例に関する問い合わせ先

企画経営部秘書政策課政策推進室
Tel: 027-382-1111(内線1015)
E-mail: hisyo@city.annaka.lg.jp

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