平和酒造株式会社「サポート体制のシステム化で「お酒造り」に一意専心」

展開地域名: 和歌山県海南市

分野:
組織内改革
キーワード:
自動化
業務効率化
ワークフロー
コミュニケーションツール
IoT

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解決すべき課題

■伝統を受け継ぐ職人の世界は昔ながらの地道な手作業に頼る部分が多い。

● 酒税法に基づく記帳作業が煩雑な上、生産管理や出荷作業を手書きで対応していたため、販売数量によるデスクワークが社員の負担になっていた。

● 和歌山市や東京など拠点が増えることで人の動きが増え、現場の判断に必要な社員や杜氏(酒造りの最高責任者)の不在が増えた。

➡ 酒造りに集中できる環境を整えたい。

(本事例は、和歌山県内事業者の競争力強化を目的として、和歌山県が紹介する県内企業の先進的DX事例の一つ。)

解決の手法

■現在の平和酒造 ㈱ 代表の入社時には、パソコンが 1 台で、伝票は手書き、受注は FAX という環境であり、IT の導入という意味ではほぼゼロからのスタートであったが、酒造りに集中できる環境作りという課題を解決すべく、組織内改革に取り組んだ。

● 全社員が蔵人として造りに関わっていることから、徐々に社内の仕組みを見直し、2021 年に生産管理と販売管理をサポートするシステム、「売りex」、「造りex」(合同会社シンプレスト提供)を導入した。「売りex」、「造りex」は、全ての工程でデータを記録、伝票の管理まで全てをデータ化しながらオンラインで確認、処理できる。

・「造りex」

仕込みの計画段階から瓶詰めまでの醸造データーをフローにそってもれなく記録することができる。

・「売りex」

商品情報や得意先、在庫の管理ができ、酒造メーカー特有の項目にも対応する。

● 社員全員にメールアドレスと PC を付与し、社内状況共有のために、コストがかからない Messenger(メッセンジャー)、Google Drive,、Google Calendar を活用。また、Wi-Fi環境を全社内に整備した。

● 2022 年には事務所のデスクをフリーアドレス化し、ペーパレスも推進。

解決における工夫点

● どの業務にどのシステムをもってくると効率化するのかを認識するため、各部署でキーマンとなる人との関係性を築いた。

● DX化の一番のポイントは、一方的な押し付けでなく、社内全員の合意をとりつけること。使用ルールを合わせて ITツールを使うことで、使いやすい環境を整えている、

(例): グーグルウェアの導入により個人のスマホで会社のメールが見られるようになった際に、就業時間外にメールを見てくれる人もいるが、極力見なくていいということを伝えている。

事例による成果

●「造りex」、「売りex」の活用で伝票や資料が簡略化でき、社員がデスクワークにかかりきりになることが激減した。

・Web上で受注が一元管理できることから、複数の伝票が連動して入力が一度で済み、FAXや手入力だった頃から飛躍的に時間削減ができた。

・予約出荷にも対応でき、受発注の双方に便利になった。

● 出張の多い杜氏が遠隔で数値を確認し、指示を出すことができたり、各拠点との連絡がスムーズになった。

● 事務所デスクのフリーアドレス化について、出勤がローテーション体制のため、必要以上にスペースをとることがなくスッキリとした環境が整い始めた。

● 日々メッセンジャーで酒造りについて互いにアドバイスしたり気づきを与え合ったりする習慣が根付いた。どうしたら良くなるかと頻繁に議論ができるようになり、酒造りのレベルがかなり向上した。
(日経ビジネス「平和酒造・山本社長 世界一の日本酒はこうして生まれた」参照。)


【今後の課題】

● 課題と思われたことは一通りできた。一気にというよりは徐々に、かつスピーディーに逐次取り組んでいいくことが大事だと勘耐えている。改善は目についたら取り組むスピード感を心がけている。

● 海外への輸出が増えてきていることから、その対応も課題の一つ。同じ製品でも輸出する国やインポーターによってラベルの裏書を変えなけれなならない。こうした現場からの声を聞き、更なる効率化を目指す。

事例の継続性

継続運用中

事例の運用期間

2021 年~継続運用中

参考資料

本事例は、「和歌山県DX導入事例集~ケースから学ぶ中小企業のDX~」を中心として、以下の資料を参照して編集しています。
※ 以下の資料の参照先は、調査時点でのものです。参照先の構成によっては、リンク切れとなっている場合があります。あらかじめご承知おきください。

■和歌山県

・和歌山県DX導入事例集~ケースから学ぶ中小企業のDX~ を作成しました!
https://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/061000/d00212467.html

・和歌山県 DX 導入事例集~ケースから学ぶ中小企業の DX~を作成しました! 令和 5 年 2 月 6 日
https://wave.pref.wakayama.lg.jp/news/file/37740_0.pdf

●和歌山県DX導入事例集~ケースから学ぶ中小企業のDX~
https://dx.bee-design.net/bin/dx_case_studies.pdf

■合同会社シンプレスト

・売りex
https://simplest.jp/service/uri-ex/

・造りex
https://simplest.jp/service/

■平和酒造株式会社
https://www.heiwashuzou.co.jp/wordpress/

■BizHint

・問題のある組織から良い酒は生まれない。パック酒から転換し世界No.1を掴んだ平和酒造の組織再建 2022年6月17日
https://bizhint.jp/report/644466

■日経ビジネス

・平和酒造・山本社長 世界一の日本酒はこうして生まれた 2021.1.5
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00087/122800142/

■事業構想 PROJECT DESIGN ONLINE

・ベンチャー出身社長が老舗酒造を変革 若者が意欲的に働く酒蔵に 山本 典正(平和酒造 代表取締役社長) 2019年7月号
https://www.projectdesign.jp/201907/area-wakayama/006561.php

■EC-ORANGE

・「ECなし」で和歌山から世界に羽ばたく日本酒業界の異端「平和酒造」〜CEO Japan Summit 2019レポート〜
https://ec-orange.jp/ec-media/?p=25418

事例に関する問い合わせ先

平和酒造株式会社
Tel: 073-487-0189

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