三菱総研DCS株式会社「コミュニケーションロボット活用ワークショップ~障害をもつ子どもたちの自己表現支援~」

展開地域名: 神奈川県横浜市

分野:
福祉
キーワード:
コミュニケーションツール
IoT
ロボット

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解決すべき課題

■障害のある子どもたちの悩みは、保護者からの話では学校でのコミュニケーションに関するものが大変多い。

(自治体通信ONLINE「障害者への自己表現支援で見出した「コミュニケーションロボット」の可能性 [提供] 三菱総研DCS株式会社」参照。)

解決の手法

■三菱総研DCS は、2016 年よりコミュニケーションロボットへの取り組みを開始し、2018 年からは高齢者やこども向けのニーズを発掘、新たなサービス提供に向けた活動を開始している。

横浜市は 2017 年に立ち上げた『IoT オープンイノベーション・パートナーズ(I・TOP 横浜)』事業において、2021 年 12 月より「障害者のスポーツや文化活動の充実、施設の利便性向上」を目的とした、新たなIoT製品・IoTサービスに関する提案(実証実験の実施及び事業化に向けた提案)の募集を開始。

同社は、「コミュニケーションロボットを使ったワークショップ」を提案。内容は、障害により発声や会話が苦手な子どもが、コミュニケーションロボットをアバターとして自分の思いを表現したり、他者とのコミュニケーションの練習をしたりする体験会の企画・運営するというもの。

(横浜市「【実施報告】I・TOP横浜ラボ「障害者のスポーツや文化活動の充実、施設の利便性向上」に関する実証プロジェクト提案募集」、「横浜市記者発表資料 ~創発・共創によるデジタル・ガバメント推進の取組~ 「障害者のスポーツや文化活動の充実、施設の利便性向上」募集開始 」、「I・TOP横浜ラボ 「障害者のスポーツや文化活動の充実、施設の利便性向上」に関する実証プロジェクト 」、三菱総研DCS「横浜市「障害者のスポーツや文化活動の充実、施設の利便性向上」の実証プロジェクトに採択されました」参照。)

● 2022 年 6 月に同提案内容が採択され、同年 7 月から 8 月にかけて「障害者スポーツ文化センター横浜ラポール」にて、Aldebaran の 小型二足歩行ロボットNAO を用い、ワークショップを開催した。2 種類のワークショップを各 4 回実施し、ロボットを通じたコミュニケーションが子どもたちに与える影響や効果について検証した。

本ワークショップの目的は、肢体不自由などの障がいにより発声や会話が苦手なこどもに対し、以下の活動を支援するもの:

・ロボットをアバター(自分の分身)として自分の想いを表現する。
・ロボットと挨拶や面接などのコミュニケーションの練習をする。
・ロボットの目線で、コミュニケーションの練習の様子を録画し、振り返りの材料とする。

<ワークショップ概要>

・ワークショップへの参加募集にあたっては、横浜市から市内の特別支援学級等へ周知いただき、小学 3 年生から高校 3 年生まで、障害の種類や程度の異なる子どもたちに参加いただいた。参加の理由として操作・プログラミングなど「ロボットに興味がある」と回答した子どもが多数。

・2 種類のワークショップ(プレゼンターワークショップ/参加者:6 組 (12 名)、案内係ワークショップ/参加者:4 組 ( 8 名))を各 3 回開催した。その後、両グループ合同の発表会を行い、ロボットを通じたコミュニケーションが子どもたちに与える影響や効果について検証した。

・各組は 1~3 回目に、ロボットに語らせたい言葉を用意したりロボットの挙動をプログラミングする等行い、最後の 4 回目に、それぞれプレゼンテーションや会場案内を行った。

・プレゼンターワークショップでは、Microsoft PowerPoint®を使って発表資料を作り、ロボットを通して自分の思いを発表した。

・案内係ワークショップでは、ロボットが来訪者へ案内をするための言葉を考えて、操作用のタブレット上で操作ボタンを作り、発表会ではプレゼンターや家族を会場まで案内した。

(三菱総研DCS「【結果レポート】ロボットを用いたコミュニケーション支援ワークショップ」、自治体通信ONLINE「障害者への自己表現支援で見出した「コミュニケーションロボット」の可能性 [提供] 三菱総研DCS株式会社」、ICT教ニュース「三菱総研DCS、ロボットを使った障がい児向けコミュニケーション支援ワークショップ」参照。)

事例による成果

■子どもたちの自己表現を引き出し、他者意識を学ぶツールとしても有効であることなど、定量的に検証することができた。

● 定性的な面では、ワークショップを通じて、ロボットを身近に感じることで、子どもたちがロボットを「友だち」として認識していった。

● ロボットが話す言葉を考えることは、聞く人の立場に立って言葉を選ぶきっかけとなり、子どもたちにとって、他者意識への気づきにつながった。

・発表資料の作成、ロボットの動きを考える際に注意したことについての子どもたちへのアンケートで、以下のような回答があった:

 ・プレゼンター(n=4)
  ー 相手に分かってくれるように考えた。
  ー 聞きやすい言葉を探す。
  ー 資料の見た目を意識して作った。

 ・案内係(n=4)
  ー わかりづらい言葉を使わない。
  ー どんな人が来るのかを想像しながらつくった。
  ー 伝えることをどんなにするのかを自分で文つくった。

(三菱総研DCS「【結果レポート】ロボットを用いたコミュニケーション支援ワークショップ」より。)

● 保護者からも、ワークショップ期間中の自宅での子どもたちの様子が、前向きな気持ちに変化したことなど、プラスの評価を得ることがでた。

・ワークショップ前後の子どもたちの気持ちや行動の変化を、約 30 % の保護者が感じた。

● 今回の実証実験を経て、2022 年 10 月に 特別支援学校・学級向けに NAO を用いた「Link&Roboforグローイング」コミュニケーションロボットサービスの提供を開始した。

(三菱総研DCS「【結果レポート】ロボットを用いたコミュニケーション支援ワークショップ」、自治体通信ONLINE「障害者への自己表現支援で見出した「コミュニケーションロボット」の可能性 [提供] 三菱総研DCS株式会社」、PR TIMES「特別支援学校・学級向けコミュニケーションロボットサービス「Link&Robo for グローイング」の提供を開始」参照。)

【今後の展望】

・特別な支援が必要な子どもたちにとって、このサービスが自己表現ツールの選択肢のひとつになるよう、サービスの普及に向けて活動していく。

(三菱総研DCS株式会社「【結果レポート】ロボットを用いたコミュニケーション支援ワークショップ」参照。)

事例の継続性

実証結果を基に製品化した本サービスは 2024 年現在も提供中。

事例の運用期間

2022 年 7 月~ 8 月

参考資料

本事例は、「横浜市 I・TOP横浜ラボ取組事例集」を中心として、以下の資料を参照して編集しています。
※ 以下の資料の参照先は、調査時点でのものです。参照先の構成によっては、リンク切れとなっている場合があります。あらかじめご承知おきください。

■横浜市

・I・TOP横浜ラボ取組事例集 2023.6
https://www.city.yokohama.lg.jp/business/keizai/iot/itop/itoplab4.files/jirei.pdf

・【実施報告】I・TOP横浜ラボ「障害者のスポーツや文化活動の充実、施設の利便性向上」に関する実証プロジェクト提案募集 最終更新日 2023年6月12日
https://www.city.yokohama.lg.jp/business/keizai/iot/itop/itoplab4.html

・~創発・共創によるデジタル・ガバメントの取組~「障害者のスポーツや文化活動の充実、施設の利便性向上をテーマに、横浜ラポールでデジタルソリューションを活用した実証実験を開始します。最終更新日 2022年6月1日
https://www.city.yokohama.lg.jp/city-info/koho-kocho/press/digital/2022/rappot20220601.html

・I・TOP横浜ラボ 「障害者のスポーツや文化活動の充実、施設の利便性向上」に関する実証プロジェクト
https://www.city.yokohama.lg.jp/business/keizai/iot/itop/itoplab4.files/youkou.pdf

・~創発・共創によるデジタル・ガバメント推進の取組~「障害者のスポーツや文化活動の充実、施設の利便性向上」募集開始 最終更新日 2021年12月16日
https://www.city.yokohama.lg.jp/city-info/koho-kocho/press/digital/2021/1216rapport.htm

 ー横浜市記者発表資料 ~創発・共創によるデジタル・ガバメント推進の取組~ 「障害者のスポーツや文化活動の充実、施設の利便性向上」募集開始  令和3年1 2月1 6日
https://www.city.yokohama.lg.jp/city-info/koho-kocho/press/digital/2021/1216rapport.files/0004_20211215.pdf

■三菱総研DCS株式会社

・【結果レポート】ロボットを用いたコミュニケーション支援ワークショップ 2022.11.14
https://www.dcs.co.jp/knowledge/report/lr_growing/

・横浜市「障害者のスポーツや文化活動の充実、施設の利便性向上」の実証プロジェクトに採択されました 2022.06.01
https://www.dcs.co.jp/news/2022/220601.html

・特別支援学校・学級向けコミュニケーションロボットサービス Link&Robo for グローイング
https://www.dcs.co.jp/solution/lr_growing/

■Aldebaran(SoftBank Robotics Europe)

・About Aldebaran, a part of United Robotics Group
https://www.aldebaran.com/en/aldebaran

・NAO 
https://www.aldebaran.com/en/nao

■自治体通信ONLINE

・障害者への自己表現支援で見出した「コミュニケーションロボット」の可能性 [提供] 三菱総研DCS株式会社 2023.05.09
https://www.jt-tsushin.jp/articles/case/jt49_dcs

■PR TIMES

・特別支援学校・学級向けコミュニケーションロボットサービス「Link&Robo for グローイング」の提供を開始 三菱総研DCS株式会社 2022年9月28日
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000034.000045457.html

・横浜市における障害者のスポーツや文化活動の充実、施設の利便性向上に資するデジタルソリューション募集! 横浜市 2021年12月27日
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000847.000013670.html

■ICT教育ニュース

・三菱総研DCS、ロボットを使った障がい児向けコミュニケーション支援ワークショップ 2022年7月26日
https://ict-enews.net/2022/07/26dcs/

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